第4回公演「嘴細」

A市は前代未聞の鳥害に見舞われた。
川から飛来するカラスが人々を襲い始めてから、
彼らが必ず目を狙ってくると人々が気付くまでには時間を要した。
知恵を得たカラスの群れによって、
多数の市民が視力を失い、街は寂れ、快速電車は止まらなくなった。
若者は街を去った。わずかな例外を除いて。

ある秋の日、下りの各停を乗り継いで、
一人の男がA市のA駅で下車した。
鳥害の調査のため、そして、かつての同級生たちと再会するためだった。
東京で技官の職を得て数年。
彼の少年時代は、鳥害が発生した最初期に当たる。

見える人々と、見えない人。
視覚の時代のただ中、記憶の彼岸に見えるのは、
故郷に裏切られた男と女の、不器用で甘い青春の暗がり。

脚本:植松厚太郎
演出:荒川 大(劇団ハーベイ)

出演:目黒ひかる
   こうこ
   中川慎太郎
   望月馬木人
   小坪加奈
   高円寺さん
   荒川大

2017/09/29 (金) ~ 2017/10/01 (日)
@高田馬場ラビネスト