年度末公演「さよならフィクション」

春が来た。年度が変わった。
昨年度の交通事故死者数の総計が、警察庁から発表された。
ちょうどいい。トラックに轢かれて死に別れるカップルの話を書いた。

夏が来た。
七月も終わりの頃、湘南の浜辺で男子中学生が溺れた。意識は戻らなかった。
なるほど、その手があった。海難事故で命を落とす夫婦の話を書いた。

秋が来た。
そろそろ、どこかの国のテロみたいな悲劇を書くのもいいかな。
でも、政治ものは資料とか面倒だから、
結局は去年に続き、よくわからない難病で死ぬ少年の話を書いた。

冬が来た。もうすぐ2009年度も終わる。
ネタが尽きたら、とりあえず事故か病気かでコイントスをすることに決めている。
たぶん来年も再来年も、
俺はずっと人が死ぬ小説を書き続けていくんだろう。

何も難しい勘定じゃない。
俺が良心を一つ捨てるたび、
世間では100,000人が感動の涙を流す。

脚本・演出:植松厚太郎

出演:荒川大
   山原佑希
   佐藤千沙都
   高橋かおり
   鶴田聡
   小島葉平
   田口ともみ

2010/03/19 (金) ~ 2010/03/21 (日)
@駒場小空間

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